デキレル女子図鑑

物作りのためにコードを書く女子閑歳孝子(かんさいたかこ) #03

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  閑歳孝子さんは、不思議な経歴をたどり現在様々なWebサービスを企画から開発まで一手に行い作り出しているWebネット業界の才女。さっぱりした性格と、明るい笑顔が素敵な人です。

  デキレル女子図鑑とは、東京ナイロンガールズから見た「デキル」+「キレ者」な女子を紹介するコラムです。デキレル女子として、自分なりのポリシーを持ち仕事やプライベートに全力投球している女子に、Ya-koが密着インタビュー! デキレル女子になるヒントを見つけていきます。

閑歳孝子(かんさいたかこ)さんプロフィール

1979年生まれ、現在(株)ユーザーローカルにてWebサービスの開発に携わる。日経BP社で専門誌の記者・編集を3年経験した後、知人が立ち上げた Web系ベンチャーに転職。ブログやSNSの自社パッケージ開発を手がけた後、2008年より現職でWebアクセス解析ツールの開発・企画・UI ・デザインなどを担当。個人でもTwitterのトレンドの発言を集めた「ReTweeter」や写真のスライドショーサービス「Smillie!」などのサービスを開発し、Web・ネット界の才女と呼ばれている。
好きな食べ物はグミ。趣味はサバイバルゲーム。座右の銘は「我が生涯に一片の悔いなし」

ブログ:
http://d.hatena.ne.jp/ramyana/


一口では表現できない、とても不思議な経歴の持ち主



 閑歳さんは、大学在学中に友人と3人でWebサービスを開発し、そのままネット業界に進むのかと思いきや専門誌の記者・編集を経てWeb系エンジニアに進んだちょっと変わった経歴の持ち主。Web・ネット界に登場すると、すぐに人気者になりました。

Ya-ko(以下Y):「あのね、知り合ってからずっと思ってたんだけど、閑歳さんの経歴が謎過ぎるんだよね......。」

閑歳(以下かんさい):「あー......私もそう思う(笑)。あまりキャリアパスとか考えていないし、考えても無駄なんじゃないかと思うんだ。どうせ先の事は分からないし、先が見えないことこそ楽しい。先が見えちゃってたら、やる意味ないでしょう。だからこそ自分がほんとうに好きだと思うことを誠実にやっていくのがいいんじゃないかと思うようになったんだ。」

出版業界に進んだのは、「普通すぎると思ったから。」


Y:「大学にいる時、Webサービスを立ち上げたんだね。」

かんさい:「招待制で学内限定の今でいうSNSのようなサービスで、友達のつぶやきが見えたり、同じ授業を受講しているユーザー同士で情報を共有できるような機能がありました。卒業する頃にはキャンパス全体の95%以上の学生が使ってくれるまでに成長して、学内にいると自分たちのすぐ後ろで『あのサービス使いたい』と言っている人を見かけてすごく嬉しかったなあ。このサービスが今の自分の原体験になってると思う。
元々、高校生の頃から通信にあこがれていて、自腹でパソコンを買ってパソコン通信をしていたんだけど、周りの友達にはとても言える雰囲気じゃなくて。大学に入っていろんなタイプの人がいて、自分も素を出していいんだと気づいて、そこから好きなことを隠さずにするようになったんだよね。」

Y:「なるほどねー。でね、その流れだと当然ながらWeb・ネット界に進むと思うんだけど......。」

かんさい:「大学を卒業した後にそのままネット企業にいっても良かったけど、それも普通過ぎる?と思ったから出版の世界へ進みました。あと、当時、自分がそこまでインターネットが好きだとは分からなかった。これからもっと好きな物が別に出てくるかもしれないし。出版社はいろんな人に会ったり会社を訪問できたりするので視野が広がるからいいかなと思った。多くの人に有益な情報を伝えられる、マスコミという立場にも憧れていたし、ネットの世界にはいつか戻れたらいいかなと。」

かんさい:「ただし、記者になりたかったわけではなく、Web媒体コンテンツが乗るプラットフォームが作りたかったのね。でも配属された職種は記者だった。書くことは好きだったので、それでもいいかと思ったんだ。普通じゃ会えないような人にたくさん会えたし、すごく楽しかったし勉強になった。でもWebサービスに関わることがしたいなという想いはずっと頭にあって。あとは、どうしても専門誌記者なので、世間の風潮に沿うような記事を書かなくてはいけないような雰囲気を感じてしまって。自分の力不足によるものだけど、自分の考えを記事にうまく書けず、そんな自分に対して自信をなくした時期もあったっけ。」

専門誌記者からいわゆる「出版社っぽい」仕事へ転属

Y:「専門誌だと、なかなか自分のカラーが出しづらかったのかもね。」

かんさい:「退職する少し前に、商業誌(モノマガジンのような電子ガジェット系の雑誌)へ転属したの。専門誌の世界とは全くカルチャーが違って本当に驚いた。そこにいる人たちや関わる人たちがいわゆる『ギョーカイ』の人。楽しい経験だった。今思うと、はじめてここで『出版社っぽい』仕事をしたんだね。グラビアの撮影とか、ライターさんをまじえた記事執筆をしたり。この転属で自分でページの構成やタイトルが決められるようになったり、企画が通って取材に行けるようにもなったので、新しく何かを作り出すことはやっぱり楽しいと思うようになったかな。」

自分のやりたいことは、やっぱり物を作ること



Y:「専門誌の世界から『ギョーカイ』な人たちと仕事をすると確かに随分違いそう。出版社には3年くらいいて転職したんだっけ?」

かんさい:「商業誌に転属して、新しく何かを作り出すことは楽しいし、自分のやりたいことはやっぱり物を作ることかなと感じたのね。その頃ちょうどWeb系の会社の友達から転職の誘いがあって、出版社にいて3年半経っているし、もうネット業界には戻れないんじゃないかとかなり悩んだけど、振り返ってもネットほど好きなものがなかったなと思って思い切って退職してWebサイトの受託開発をする企業へ転職しました。」

ネット業界にもどってからしばらくの肩書きは「ディレクター」

Y:「ネット業界は動きも早いし、3年半離れてると技術的にも知識的にも取り残されてしまっていないか不安になるよね。常に追いかけるからこそ楽しいんだけど、それに追いつこうとするとなかなか大変。転職した会社ではどんな仕事をしていたの?」

かんさい:「転職してからしばらくは、ディレクターのようなことをやっていて、自分+エンジニアという体制で製品を作ってました。でも、微細な修正とかは自分で修正したほうがエンジニアの労力も掛けずに済むなと思うようになって、ちょっとずつ自分でプログラムを直すようになって、そこから少しずつ開発もするようになったんだ。」

Y:「うん。私も微細な修正は自分でできるって思ってテンプレートとかいじったりするから気持ち分かる(笑)。じゃあ、受注開発系の企業に転職してから、ブログとかを始めたの?」

かんさい:「ブログは何回かやろうとしたけど、ぜんぜん続かなかったなぁ。匿名でやっていたせいで、誰も読みに来ないしすぐ飽きちゃって。勉強会やイベントにいくタイプの人が周囲にあまりいなかったこともあり、そういうのは自分とは違う世界の話なんだとずっと思ってた。だから、私が積極的にネットでコミュニケーションをしだしたのはこの1年くらいで、ネットワークがいきなり広がったのもこの1年くらい。」

Y:「意外だなあー!随分前から自分で発信している人だと思ってた。」

かんさい:「そうなんだよ(笑)。Smillie!(スマイリー!)というサービスを作った時、田口さん(注:百式管理人の田口元氏)が取材を元にサイトで紹介してくれて、そこから考えががらっと変わった。田口さんには足を向けて寝れないよ!ネットコミュニケーションをしだして、いろんな人と会うようになって、発信するものがあり、発信している/表現している人は色んな人が居て、常にいい刺激を受けていると感じるね。すごく多才だし。自ら発信するって大切だなと思うよ。」

Y:「そういえば、デスクトップ百景(注:BB Wachの名物コーナー。ネット業界にかかわる人が使っているパソコンのデスクトップを取り上げていた。)に登場した時、『主婦』だったよね?主婦だったのはいつの頃?」

かんさい:「受託開発系の会社を辞めた頃だね。3年半勤めてすごくお世話になったけど、そのうちに『Webのサービスをちゃんと作りたい』という思いが強まってきたんだ。でも自分はまだまだ経験不足だから、Webのサービスやツールを一から作ってビジネスとしても大きく成長させたような人の元で働きたいと思い始めて、あてもないのに退職しちゃったの。」

全て自分で作ってみたい!そんな仕事を探して



Y:「今の会社にはどんなきっかけで入社したの?」

かんさい:「私のやりたいことはWebサービスを企画して、作ること。自分の希望する仕事ができる企業を探すのは大変だったよ。大企業に行くことも考えたけど、今の自分には不向きだと思ったし、私の経歴では、大企業にいくと経歴が謎過ぎて物作りならエンジニア、企画ならディレクターに寄せられちゃう。場合によっては記者経験から全く畑違いの所にいっちゃうかもしれないって思ったんだ。サービスの企画から画面設計、開発の部分まで全部一人でやってみたかった。だから、スタートアップの会社で、面白いところはないかなと探してたんだ。」

Y:「なるほど。」

かんさい:「悩みつつも、転職先を探していた時、今の代表に誘われて現職のユーザーローカルに入社したんだ。」

Y:「転職のきっかけが誘われてというところが閑歳さんらしい。人のつながりって大事だよね。」

かんさい:「うん。そうだね、本当にそう思うよ。」

Y:「閑歳さんが手がけたアクセス解析の『ユーザーインサイト』『うごくひと2』は好評だね。」

かんさい:ありがとう!私がこだわっているのは、とにかくぱっと見てその機能の意味が理解できること。『ユーザーインサイト』も『うごくひと2』もアクセス解析サービスなので、その数字に意味があることが簡単に分かるのが大事だよね。たとえばおじいさんが使っても、今日はアクセス数が上がった、昨日はアクセス数が下がったということが簡単に分かり、なんでアクセス数が上がったのか、アクセス数が下がったのかも分かることを目指しました。だから、画面にはとてもこだわってます。」

かんさい:「デザインを評価してもらえるのはとてもうれしい。私は、スタイリッシュなデザインがしたいわけじゃなくて、ツール系のサービスなら、知りたい情報まで簡単にたどりつけること、サービスなら適度ににぎやかで何度も来たくなることを目的に考えているから。使われない機能は、ないのと同じでもったいないと思うよ。」

Y:「機能を分かりやすくするって、その機能やサービスを知ってしまっている人には難しいよね。」

かんさい:「そうそう。分かっていることを他の人に分かりやすくするって難しい。でも、いつもそれに配慮してサービスを作るようにしています。」

コードを書くことが好きなわけじゃなく、物作りをする為にコードを書いている



かんさい:「いまの会社では、もちろん営業の人や社長と相談して決めるけど、基本的にはツールの企画や開発を自分一人でやっているから、もちろんコード(開発コード)も書いている。でもコードを書くことそのものが好きなわけじゃなくて、物作りをする為にコードを書いている感じなんだ。」

Y:「あー。コードそのものを愛しちゃってる人もいるよね、エンジニアの中には。」

かんさい:「今も自分のことはエンジニアとは思えなくて、ただ実現したいサービスやツールがあって、そのためにコード書いている感じ。コードを書くことと画面をデザインすることとは、自分の中ではほぼイコールなんだ。
でも生粋のエンジニアの人は本当に尊敬してる。大学時代から一緒にサービス作っていた笠谷さん(注:iPhoneアプリ『PocketGuitar』などで知られるエンジニア)が本当にすごくて、彼のコードを見て、『あ、わたしエンジニアにはなれないわ』と思ったんだ。でもサービスを自分で作るようになって、彼らとは違うところに自分の強みがあるんだろうなと思うようになった。でも、未だに自分の肩書きがなんなのか良く分からないよ......。」

Y:「閑歳さんが分からないんじゃ、私が分からないのも仕方ないか(笑)。」

仲良し不思議夫婦


閑歳さんのご主人、面白法人カヤックにお勤めの瀬尾さん。ご自宅にお邪魔したので3人で会話しながらのインタビューでした。

Y:「そういえばTwitterで『今日は夫婦で徹夜』って言ってたけど、仕事忙しいの?」

かんさい:「ううん。仕事じゃなくて、自分が作りたいサービス(注: 『ReTwitter(リツイッター)』2009年8月リリース)を来週の月曜日には形にしたくて、熱中してたら徹夜しちゃった(笑)。旦那さんも鎌倉で(注:ご主人の瀬尾さんがお勤めの面白法人カヤックは鎌倉にオフィスがある。)なんかごそごそやってたみたい。今、また新しいサービスを開発してるみたいなんだ。」

Y:「じゃあ、瀬尾さんは鎌倉で徹夜して、閑歳さんは家で徹夜してたのか。お互い作業して。不思議な夫婦だなあ(笑)。」

これからの野望は「1人でもいいから全く知らない人の人生に大きな影響を与えるサービスを作ること」


Y:「これからの閑歳さんの野望を教えてくれる?」

かんさい:「自分で作ったサービスで、1 人でもいいからまったく知らない人の人生に大きな影響を与えることかな。ちょっと便利とか、ちょっと楽しいとかじゃなくて、このサービスがなかったら自分の人生変わってた!みたいなサービスが作りたい。たとえば mixi で知り合って結婚した人っていると思うんだけど、そういう影響を与えるようなサービス。あと、ネット好きな人に向けたサービスを作るのも楽しいけど、『あまりネットに詳しくないうちの母親でも使うかもしれない』サービスをなるべく作りたい。」

インタビューを終えて:

 閑歳さんと出会ったのは今年の3月中旬、まだまだ寒い時期でした。話題に共通点が多く、すぐに顔なじみになりました。多忙な彼女ですが、 Twitterやブログで積極的に情報発信をし、自分の信念にまっすぐ向き合いながら会社の、そして自分のWebサービスをどんどん作り発表しています。取材前日にTwitterで起こった出来事(注:閑歳さんがTwitterでつぶやいた一言がReTweet(リツイート:引用転送)され、爆発的に広まった)から閃いてReTwitterを作り始めてしまったのも、そんな彼女ならではのエピソードではないでしょうか。

 今回、ご自宅にお邪魔したので閑歳さんとご主人の瀬尾さんと3人で会話しながらのインタビューになりました。3時間ほど話し込んだ後、瀬尾さんは趣味のサックスを吹きにふらっと外出し、閑歳さんと私は夕食を食べに出かけてしばらく経ったら瀬尾さんから電話がかかってきました。おなかがすいている、と言っているので合流するかと思いきやお小遣いがピンチ(注:夫婦別小遣い制だそうです。)、ということで合流せず自宅で一人夕飯を食べることになりました。お互いのペースを尊重する閑歳さんと瀬尾さんらしい出来事ですね。

閑歳さん曰く、瀬尾さんとは同じ業界なので会話が楽だそう。閑歳さんのお友達が瀬尾さんのオフィスに遊びに行ったことや、はてなブックマークのホットエントリにランクインしている記事のことなど共通の話題で話ができるそうです。お互いのペースを尊重しながらも楽しく毎日を過ごしているお二人の様子が伺えます。

 デキレル女子図鑑は、ガール・ミーツ・ガールのコンセプトを拡充し、ガール・ミーツ・ガールをトミモト編集長と更新していくため今回で連載は終了します。

12月からは、写真についての新しいコラムを連載予定です。お楽しみに。

Ya-ko | 2009.11.30 16:35

物作りのためにコードを書く女子閑歳孝子(かんさいたかこ) #03

Ya-ko
いつかは呼吸するようにブログが書きたいと夢見るブログ業界の片隅にひっそりと生きる人。基本的に非モテのネット系リア充属性。好物:写真を撮る事、スポーツ全般、友だちと遊ぶ事、美味しい物を食べる事。大好物:写真を撮る事(デジタル一眼、フィルムカメラ、トイカメラ、ポラロイド所有)、サーフィンしつつ波間で海に浮かぶ事。
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