腹黒い11人の女

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ろくでなしの男か金持ちの男としか付き合ったことがなかった女:理香【腹黒い11人の女 Vol.02】

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 男と食事に行った時に、女は金をどれくらい払うべきか。最早、明治時代あたりから議論され尽されているのではないかという話だが、今もよくその類を聞く。
キャバクラは男女関係を金で媒介して給料を得る仕事で、ちえりはその仕事に従事している。そのせいか、男女関係及び金銭関係の相談をちえりはよく受けるようだ。先日も、友人の理香が言い出したことにちえりは驚いた。

 理香は小柄な体に大きな胸をした愛嬌のある女だ。童顔だが口が大きいせいか、妙な色気があり、どんな場でも臆せず人と話すので酒の席での需要が高い。私鉄沿線沿いの焼肉屋で緑茶ハイを片手に理香は、ちえりに向かってこう語りだした。


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2011年10月20日     このエントリーをはてなブックマークに追加

腹黒い11人の女

“腹黒い11人の女”に勤めるひとりの女:ちえり【腹黒い11人の女 Vol.01】

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渋谷駅、井の頭線口から出て、向かう方向は公園通りでもセンター街でもなく、無料風俗案内所や二十四時間営業の居酒屋が並ぶ路地だ。

ぺらぺらの生地の黒服に身を包んだ日焼けした男達がビラを配り、鼻の下を伸ばした男を捕まえようとする。どんな季節でも肩と胸の谷間を丸出しにした女達が、睫毛をしばたたかせながら男にしなを作る。私はそれらを横目に足早に歩く。
向かう先には鉄製の重いドアがあり、そこには『黒い11人の女』と記されている。

この長ったらしい名前の店はキャバクラ。オーナーが好きな古い日本映画のタイトルから取ったこの店名を、店の女達は『腹黒い11人の女』の方が偽りがないと笑う。私はこの店で、『ちえり』という名で働いている。

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2011年10月13日     このエントリーをはてなブックマークに追加

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