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サブカルこじらせ地方ガール小説「ここは退屈迎えに来て」共感しすぎて苦しい

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大河のようにどこまでもつづく幹線道路、行列をなした車は時折りブレーキランプを一斉に赤く光らせ、道の両サイドにはライトアップされたチェーン店の、巨大看板が延々と連なる。ブックオフ、ハードオフ、モードオフ、TSUTAYAとワンセットになった書店、東京靴流通センター、洋服の青山、紳士服はるやま、ユニクロ、しまむら、西松屋、スタジオアリス、ゲオ、ダイソー、ニトリ、コメリ、コジマ、ココス、ガスト、ビッグボーイ、ドン・キホーテ、マクドナルド、スターバックス、マックスバリュ、パチンコ屋、スーパー銭湯、アピタ、そしてジャスコ。


どことは指定されていない、どこかの地方都市が舞台となった山内マリコさんの小説「ここは退屈迎えに来て」が、非東京生まれの東京ナイロンガールズの胸に刺さると評判です。


著者の山内マリコさんは新潮社主催の「女による女のためのR-18文学賞」第七回読者賞受賞者で、本作がデビュー作となる。

ドコとは指定されない“ファスト風土”がはびこる地方都市で、ここではないどこかの幸せを求めた女たちのアンソロジーだ。

主人公の年齢は30代半ばの東京出戻りライターから始まり、そこから時代とともにどんどん若返って行く。
さらに、学生時代は確実に“上流階級”にいた、運動神経が良くて目立つ男子「椎名」が彼女たちのわずかな共通点として語られて行くのが特徴だろう。
ムリなく感情移入できる上、時代背景にもスッと馴染めてしまう。


1. 私たちがすごかった栄光の話
2. やがて哀しき女の子
3. 地方都市のタラ・リピンスキー
4. 君がどこにも行けないのは車持ってないから
5. アメリカ人とリセエンヌ
6. 東京、二十歳。
7. ローファー娘は体なんか売らない
7. 16歳はセックスの齢


↑「ここは退屈迎えに来て」もくじ


タイプは全然違う複数の女の子(ここに出てくるのは全員『女の子』です、ホントに)の視点から語られるその閉塞感は、あるはずの自分の居場所に行く勇気も、これで良いんだと留まる勇気もなく、ただただ夢を見て現状に絶望することだけが生きる証のような、とある日の自分を真上から眺めているような不思議な気分になった。

人とは違うと思いながら、自分からぬぐい去れない「冴えない感じ」に押しつぶされそうな、すべての男女の心に響く一冊です。

すでに「違いが分る(と信じている)」目先の明るい人々にキャッチされ、次々と書評が上がっている本作。

東京に生まれなかった、または東京に生まれても「ここではないどこか」を求め続けている東京ナイロンガールズ読者にはぜひ読んで欲しい一冊。

ーーー「ここは退屈迎えに来て」
本書のタイトルが発信する切なる信号に、胸を掴まれた人は、ぜひ。


 腕を伸ばして枕元のスタンドを点けると、収穫したチラシを並べて、次はどのミニシアターへ行ってみようかと計画を練る。東京の街にどれだけ疲労困憊しても、朝子は元気だった。
 彼女の人生ははじまったばかり。田舎になんか、帰らない。
(東京、二十歳。より)






written by コヤナギユウ

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