コラム

女社長漂流記

レビュー・オンナは度胸だ! カモン、重いやつ!【女社長漂流記 乙 vol.09】

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p2-3
2008年に作ったグラフィック。スケールの大きな「平和」への個人的な想い(大切さ、儚さ、後ろめたさとか)をビジュアル化してみたもの

未曾有の就職難? 世界大恐慌? 環境や経済に社会問題に、手に余る問題ばっかり!
どうせなら覚悟を決めて、覗いてみますか、重い真実系。


なんだか、最近そわそわして仕方がない。

心配事はそりゃ沢山あるけれど、おかげさまで恋も仕事も順調にいっている。
訃報もあれば“心の友”と呼ぶべき人々の結婚・出産もあり、お腹のそこから笑える日だってある。

でも、なんだか、なにか、落ち着かない。
「何にも変なことなんて起きてない」とばかりに、「順調な日常」を淡々と過ごす。
そのこと自体に漠然とした不安を抱いているのだろう。
モヤモヤと一緒に過ごすのも、出来るっちゃー、出来るけど、ええい! なんだかスカッとしねぇ!

おーい!
世界の傷口持ってこーーーーーーい!



“ささやかなご褒美のチョコレート”さえ、子供の涙で出来ている?

わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。―児童労働者とよばれる2億1800万人の子どもたち

わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。―児童労働者とよばれる2億1800万人の子どもたち(単行本)
著者: 児童労働を考えるNGO ACE(岩附由香・白木朋子・水寄僚子) 出版社: 合同出版 (2007/11) 発売日: 2007/11



節電だ、断捨離だ叫ばれて久しいけれど、「とりあえず元気に目の前の仕事を頑張ろう!」なんてはりきり、徹夜で仕事をすれば電気は一晩中付けっ放し。
必死になるほど、書類はたまって電気は使うしゴミは出まくる。エコってなんだっけ?

おまけに仕事に熱中していると、ふとした瞬間になんだか現実逃避でもしているかのような、妙な背徳感があり、時折、何とも言えばい後ろめたさに襲われる。

「いいや、私に出来ることを精一杯頑張っている」
と自分を奮い立たせるために、コンビニで買ったささやかなご褒美として、甘美なチョコレートを頂く。

でも、実は、その甘いチョコレートさえも、誰かの涙で出来ていたら?
それも、子どもの。

「わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。―児童労働者とよばれる2億1800万人の子どもたち」はオシャレなフェアトレード系のカフェで買った。私のこの“罪のような気持ち”を癒してくれるチョコレートさえ、罪を作っているの?

児童労働と言う問題があるのは知っていたけれど、貧しいのに職があるだけ幸せなんでしょ? と思っていた私には衝撃的な内容だった本書。学校にも行けず、違法を逆手に取られて低賃金で重労働を強いられているなんて。

手にしたカカオの実がこの甘い甘いチョコレートになることを知らない。
もちろん、命をかけて採ったそのチョコレートがたった5秒で消費されてしまうことも知らない。

安いものには理由がある。

原価が安いから、
無駄のないシステムが出来てるから、
労働力が安いから……

この本は子供にも読みやすく書いてあり、難しい問題が私みたいな人間にも理解できる。
でも、理解だけに読んだ後には「だから、いったい私に何ができるんだ!」という憤りがもれなくついてくるのだ。

こういう真実系の本にはそんな憤りの出口がないのがとっても不満。
でも、そう。出口がないことも、真実なのよね。





「知らない方が幸せ」と背を向け続けてるよりはきっと楽

ルワンダの涙 [DVD]

ルワンダの涙(DVD)
出演: ジョン・ハート 発売日:2007/09



冒頭の写真は当時作っていたフリーペーパーのものなのだけれど、そのときにインタビューさせていただいたユニセフ職員の渋谷さんは、ツチ族とフツ族の抗争があったブルンジで教育のコーディネーターをされていたそう。そこはルワンダと国境を接してる国。

実は、以前レンタルビデオ店で「ホテル・ルワンダ」を借りてみたものの、重い話を受け入れられる余裕がなく、再生10分後には無関心の最上級とばかりにスヤスヤ寝息を立て、終いには観ずに返却してしまった。

でも今回は、インタビューにご協力いただいたわけで「仕事だ!」と思い、気合いを入れて覚悟を決めなくちゃと思った。同じDVDを借りるのはなんとなく気が引けたので、そのとき準新作だった「ルワンダの涙」を借りて来たのだ。

主人公はイギリス出身の白人青年ジョー。「自分だったら何か変えられるのではないか」という強い信念を持ち、海外青年協力隊として現地で(どちらかというと熱血気味に)教鞭をとる。平和な日常がそのまま続くと思われていたが、突然フツ族による、かつて支配層だった少数派ツチ族の追放を目的とした大虐殺が始まる。

映画製作に関わったスタッフは、実際にその学校の虐殺現場に居合わせて惨劇を目の当たりにしたツチ族たち。ボーナストラックではこの映画製作に関わった気持ちを語っている。

「たくさんの家族を失ったあの日のことは、忘れられないけれど、誰も恨んではいない」

なんて言葉だろう。

ルワンダで大虐殺があった日、私は17才でそんなことは全く知らず、アルバイトで稼いだお小遣いを手にお洋服を買いあさる日々を過ごしていた。

映画を観終わった後、気持ちが波立ちすぎてベランダに出て腰を下ろした。
夜風にあたっても収まらない気持ち。
私はあまりにも無力で、自分のことしか考えてなくて、「かわいそう」とか「大変だな」とか「なんとかできないかしら」って思いも湧き上がるが、すぐに虚無感が胸から言葉を奪い去っていってしまう。

それは全然楽しくない。
おまけに出口だってない。

だけど「知らない方が幸せ」と背を向け続けてるよりは少しは楽になった。
解決方法がわからなくったって、問題は知っておいた方がいい。
知っていれば漠然とした想像と不安で打ちひしがれることはないから。

それでも真実を知るのは恐いって?

いやいや、大丈夫。
だって女は度胸だもの。

不安でそわそわ落ち着かないなら、今から、知っていくんだ。大変なことも。


01

コヤナギユウ


イラストレーター・デザイナー・プランナー・エディター。(株)yours-store代表取締役。77年新潟生まれ。路上でイラストポストカードを販売、 口コミで話題になり21歳で画集「and you.」(サンクチュアリ出版)を出版。渡米以後雑誌連載、グッツ展開を経てデザイナーに転身。2007年より法人化。2010年、下北沢にリアル店舗 「yours-store」を構え、同年に12年ぶりの著書を出版。
BLOG:i live you
TWITTER:KoyanagiYu
COLUMN:女社長漂流記 乙

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