コラム

女社長漂流記

あたしが社長を成せるまで【女社長漂流記 vol.01】

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 「成せばなる、成さねばならぬ、何事も」って言うけど、
そもそも「成す」ってどのラインなワケ?

 たとえば、無邪気でちょっとおバカな子どもが、卒業文集に書きがちな「将来の夢:社長」は、会社を作れば「成す」ことになるの?

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 初めまして、コヤナギユウと申します。1977年、新潟生まれ。株式会社yours-store社長。ただのデザイナーだった私が新会社法を使って社長になり、新事業を立ち上げた。広告制作、出版、アパレル、店舗に著書まで!? 成功者ともキャリアウーマンともほど遠く、社会の荒波を漂流し続ける女社長・実録コラムの始まり始まり。


嫁にはなれないが、社長にはなれる


 2007年3月12日、私は会社を興した。会社名は「株式会社yours-store(ユアーズストア)」。新会社法を有効活用してのひとり会社だ。広告のデザインやキャッチコピーを考えたり、イラストを描いたりするのが主な業務内容。「株式会社」の冠はかぶっているものの、資本金は100万円、実質的には「個人事業主」となんら変わりはない。

 私が会社を興したのには2つの理由がある。1つ目は私に「300万円貸すから、何かやれば?」と、友人がお金を出してくれたから。スゴい話だと我ながら思う。2つ目は、三十路を過ぎた女性フリーランサーは「結婚までの腰掛け」と思われがちで大きな仕事を任されないから。ちゃんと定款作って、登記して、「辞めませんよ、逃げませんよ」と言いたかった。

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会社設立当時のシェアオフィス。最大で11匹のネコがいた。

 私には結婚願望が全くない。

 結婚適齢にさしかかると恋人だって身構えてくる。喜ぶと思ってか、コトが済んだ後ニコニコと「妊娠したら結婚しようね♪」なんて言ってくる。

待て待て待て。

 今の私には「奥さん」になる気はさらさらねぇぞ、と。

 「一生一緒にいよう」とロマンチックな意味での結婚には確かに憧れる。しかし、少なくとも日本では籍が入ればオンナは家族の「嫁」だ。嫁が「大事な仕事の納品があって......」なんてきっと許されない。

 許されないならば結婚を求めちゃダメだと思うんだ。

 バリバリのキャリアウーマンになりたいわけじゃないんだけど、みんなが結婚離婚をすっかり終えた40代くらいまで、恋愛や結婚はお預けでもいいかななんて。

 「仕事と結婚する」ってありきたりで大げさだけど、会社って「子ども」を作ったんだから、その子を育てる「養育費」は惜しまず使いたいところ。


300万円をどう使う?


 1つめの理由の友人が出してくれた300万円のうち、100万円は会社設立の資本金に、もう100万円はレーザープリンター代に消えた。

 残りの100万円はプール金(残しておくお金のこと。決して泳ぐ方ではない)にしようかと思っていたのだが、古い恩人が「事業を始める見せ金に2ヶ月間だけ貸して欲しい」というから、同じプール金なら、どこにあっても同じだし、貸すことにした。

 この決断が後々大変な大事件になるんだけど、それはまた別の話。


自社ブランド「complex gala.」「PAPATTO」の合同展示会。

 さて、今まで通り、広告のデザインやイラストは続けるとして、資本金の100万円で何をしようと考えた。そうだ、ずっと前に諦めてしまったファッションブランドでも立ち上げようかしら? 本の出版もやってみたい......。インターネットで調べまくった「定款」や「登記簿」をなんとか作って、私は会社を作って「社長」になった。

 でも、社員がいるわけでもないし、一体何が変わったんだろう?


社長って、具体的になにする人?


「社長、ネコの餌あげといて」

「社長、HPのニュース更新しといてくんない?」

 会社設立から丸2年をもうすぐ迎えるというときに「出版事業」を立ち上げた。「社員」は私ひとりのままだったけど、事務所をシェアしていたファションデザイナーが、自費出版で本を作って、次の本は流通に流したいと言っていたから、手を貸すことにしたのだ。

 会社対会社間にしか出来ない「やりたいこと」って結構ある。たとえば、本を流通に乗せて全国の本屋さんで取り扱ってもらうには、個人事業主じゃ出来ない。売掛金で仕事を動かしていくことも、個人では難しいだろう。


シェアオフィスの看板。社名の「yours-store」には"あなたのつくりたいものを作れますよ"というメッセージを込めた。

 私が会社に「yours-store」と名付けたのには、いくつか理由がある。広告の製作業が主な事業だから、「あなたのつくりたいものを作れますよ」というメッセージを込めて。あとは、能力はあるけれど、社会では生きにくい「コドナ(子どもオトナ)」のオトナの部分を手伝いたいと思ったから。そして、私の名前が「ユウ」だから。大きな意味で「あなたのお店」になりたいと思った。

 出来ることは応援したい。難しいことにも努力したい。あれ? だけどなんだか便利に使われてない!?

 2009年1月。(株)yours-storeから出版事業がスタートした。レーベル名は「アドベンチャーブックス」。著者は先ほどの、一緒に事務所をシェアしているファッションデザイナーだ。もちろん、バーンと原稿料が払えるわけもなく、印刷代もない。「会社」「社長」とはいえ、個人事業主と何も変わりがないのだ。

「社長」って一体何なんだ?
あたしにいったい、何ができる?

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